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第27回東京国際映画祭
< 27th TIFF International Film Festival >


[開催期間] 2014年10月23日(木)~31日(金)
[会場] ・・・
[URL] http://2014.tiff-jp.net
 1985年より開催されている、日本唯一の国際映画製作者連盟公認の国際映画祭。今年は、Crosscut Asiaのコーナーで8本のタイ映画が上映されます。



「タイムライン」

<上映されるタイ映画>
[邦題] タイムライン(タイムライン チョットマーイ・クワームソンチャム)
[英題] Timeline Chotmai Khwamsongcham
[原題] Timeline จดหมายความทรงจำ
[製作年] 2014年
[監督] ノンシー・ニミブット<Nonzee Nimibutr/นนทรีย์ นิมิบุตร>
[出演者] チラーユ・タンシースック(チェーム)<Jirayu Tangsrisuk(James)/จิรายุ ตั้งศรีสุข(เจมส์)>、チャリンポーン・チュンキアット(トゥーイ)<Jarinporn Joonkiet/จรินทร์พร จุนเกียรติ(เต้ย)>、ピヤティダー・ウォラムシック(ポーク)<Piyathida Woramuksik/ปิยธิดา วรมุสิก(ป๊อก)>、ノパチャイ・チャイナーン(ピーター)<นพชัย ชัยนาม>
 ラブ・ストーリー。夫の死後、マット(ピヤティダー・ウォラムシック)は、チェンマイで一人息子のテーン(チラーユ・タンシースック)を農園を経営しながら育てていた。マットは息子に自分の元にいて欲しかったが、彼は半ば強引にバンコクの大学へと行ってしまう。テーンがそこで出会ったのが、同級生で薬屋の一人娘チューン(チャリンポーン・チュンキアット)。彼女はテーンにひかれていくが、彼はほかの女性に夢中になり…というストーリー。
 サハモンコン・フィルム作品。韓国映画のリメイクである、日本でも公開された「レター 僕を忘れないで(The Letter)」<2004年>の続編という位置付けの作品だ。とはいえ、ストーリーは独立しているので、前作を観なくても問題はない。ただのラブ・ストーリーではなく、涙を誘う作品にはなっている。しかし、主人公のテーンの性格が少々傲慢なために、あまり共感することができないのが難。そして、クライマックスである船のシーンの演出が、あまりにも雑過ぎる。ある意味、作品の最大の見どころでもある盛り上がる場面なのだから、どう描くかは腕の見せ所だったのだが。上映時間が135分とやや長尺なのだが、正直長く感じてしまう。もっと短い方が良かったであろう。この作品を観て号泣する方もいらっしゃるであろうが、正直、ちょっと物足りない感じがしてしまう。
 それからとても残念なのは、せっかく日本まで来てロケをしているのに日本でのシーンが非常に少ないことだ。あれなら、わざわざ日本まで来る必要はなかったであろう。佐賀県の唐津、呼子の朝市、大川内山、祐徳稲荷神社などでロケが行われたとのこと。
 作品の最大の見どころは、チューン役のチャリンポーン・チュンキアットとがはつらつとした演技を見せてくれていることだ。今後の彼女の活躍が楽しみだ。マット役のピヤティダー・ウォラムシックも存在感があった。彼女は、日本でDVD化された「シスターズ(The Sisters)」<2004年>に霊役で出演していた人である。また、「ラッダー・ランド(Ladda Land)」<2011年>では、スパンナホン賞「主演女優賞」を獲得している。主演男優のチラーユ・タンシースックは優しそうな甘いマスクした好青年だが、これからに期待ということで。なお、主演の二人(チャリンポーン・チュンキアットとチラーユ・タンシースック)が、主題歌「クライ・ケー・ナイ・クー・クライ」も歌っていてなかなかいい。この曲の元歌は、getsunovaというグループが歌っていたもの。
 興行収入はUS$1,575,135と、ヒットを飛ばした。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、8.25点(満点は10点。投票数8。2014年9月現在)であった。日本では、「アジアフォーカス 福岡国際映画祭 2014」で上映。
 ノンシー・ニミブット監督の作品には、日本でも公開された「ジャンダラ 背徳の情事(Jan Dara)」<2001年>、「ナンナーク(Nang Nak)」<1999年>、映画祭で上映された「ランカスカ海戦 パイレーツ・ウォー(Queens of Langkasuka)」<2008年>、DVD化された「THREE 死への扉(THREE)」<2002年>や「ディストーション(Distortion)」<2012年>、「オーケー・ベートン(OK Baytong)」<2003年>、「ダン・バイアリーズ・アンド・ヤング・ギャングスターズ(Dang Bireley's and Young Gangsters)」<1997年>、TVドラマ「ヌア・メーク 2 ムープラープ・チョームカマンウェート(Nua Mek 2 Mue Prab Jom Kamangwet)」<2012年>、「ヌア・メーク(Nua Mek(Beyond Comparison))」<2010年>などがある。原題は「Timeline 思い出の手紙」と訳すのか?

◆来日スタッフ、キャスト・インタビュー

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「メナムの残照」

<上映されるタイ映画>
[邦題] メナムの残照(サンセット・アット・チャオプラヤー/クーカム)
[英題] Sunset at Chaophraya/Koo Gum
[原題] คู่กรรม
[製作年] 2013年
[監督] キットティコーン・リアオシリクーン<Kittikorn Liewsirikul/กิตติกร เลียวศิริกุล(เรียว)>
[出演者] ナデート・クーキミヤ(釘宮)<Nadech Kugimiya/ณเดชน์ คูกิมิยะ>、アラネート・ディカバレート(アマラワディー・ディカバレート/リッチー)<อรเณศ ดีคาบาเลส(อมราวดี ดีคาบาเลส/ริชชี่)>、ทัตสึโนบุ ทานิกาว่า、นิธิศ วารายานนท์、กุลพงศ์ บุนนาค、เมรีนา มุ่งศิริ、จำเนียร เจริญทรัพย์、สุรชัย จันทิมาธร、มงคล อุทก
 このドラマは、タイ人なら誰でもが知っているタイトルの作品。女流作家トムヤンティー(ทมยันตี)の小説(1969年)を映画化したもので、過去に7回のTVドラマ化と5回の映画化(2013年4月現在。いずれもアンスマーリンの息子の世代を扱った「クーカム 2」を含む)が行われているほどだ。本作は5度目の映画化作品。本作のメインは、アンスマーリンではなく小堀になっている。
 物語の舞台は、第二次世界大戦下のタイ、バンコク。タイ人の有力者の娘であるアンスマーリン(アラネート・ディカバレート)は、日本軍側に組する父親により日本人将校の小堀(ナデート・クーキミヤ)と無理やり政略結婚をさせられてしまう。しかし、アンスマーリンは、徐々に彼の人柄に惹かれていき・・・というストーリー。
 M-Thirtynine社作品。この作品のトレーラー(予告)を観た時、これはかなりすごそうな作品だと思った人は少なくないであろう。しかし、である。一番問題なのは脚本だ。「クーカム」という物語を描ききれていない。もともと、「クーカム」という作品は中身の濃い作品で、二時間程度の映画では描ききることができないものだ。歴代の映画作品もそうであった。どうしても、時間的に余裕のあるTVドラマの方が完成度が高くなってしまう。だが、そんな中でも過去の映画作品と比べても本作は力不足といえる。
 おそらく、「クーカム」という物語がどういうストーリーなのか知らない人がこの作品を観たら、???となるに違いない。ストーリーの説明不足というか、ストーリー展開に筋が通っていない。また、過去の作品においても内容を微妙に違えてあるのだが、本作にも新解釈のような部分があり、それがどうも・・・。
 トレーラーを観るとものすごい製作費がかかっているように思われるが、本編を観るとトレーラーに出てくる部分がほぼ全てで、それ以外の部分はそれほどすごいというわけではないものになっているのもがっかりだ。
 タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、6.17点(満点は10点。投票数57。2013年4月現在)とかなり酷評されている。大手映画会社製作の大作でここまで低い評価はとても珍しい(通常は、悪くても7点台)。まあ、そこまでひどい作品だとは思わないが、おそらく観客の期待度が大き過ぎてこういう結果になったのではないだろうか?
 小堀役のナデート・クーキミヤも映画初出演のアンスマーリン役アラネート・ディカバレートも悪くなかった。ナデート・クーキミヤは日本人の血が流れているわけではなく、養父が日本人なのだとか。
 第23回スパンナホン賞では、主演男優賞(ナデート・クーキミヤ)と衣装デザイン賞を獲得している。主題歌賞にもノミネートされたが、賞獲得はならなかった。
 キットティコーン・リアオシリクーン監督には、「ザット・サウンズ・グッド(That Sounds Good)」<2010年>、「バスレーン(Buslane)」<2007年>、「ブリット・ワイブズ(The Bullet Wives)」<2005年>、「セイビング・プライベート・トゥッシー(Saving Private Tootsie)」<2002年>などの作品がある。

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「先生の日記」

<上映されるタイ映画>
[邦題] 先生の日記(ティーチャーズ・ダイアリー/キット・トゥン・ウィタヤー)
[英題] Teacher's Diary
[原題] คิดถึงวิทยา
[製作年] 2014年
[監督] ニティワット・タラトーン(トン)<Nithiwat Tharatorn/นิธิวัฒน์ ธราธร>
[出演者] スクリット・ウィセートケーオ(ビー)<Sukrit Wisetkaew(Bie)/สุกฤษฎิ์ วิเศษแก้ว(บี้)>、チューマーン・ブンヤサック(プローイ/ライラー・ブンヤサック)<Chermarn Boonyasak(Laila Boonyasak/Ploy)/เฌอมาลย์ บุญยศักดิ์(พลอย/ไลลา บุญยศักดิ์)>
 ドラマ。GTH社作品。この作品に登場する水上学校(Floating School)は、実在している。場所は、タイ北部ラムプーン県リー(Li/ลี้)郡にあるメー・ピン湖(Mae Ping Lake/ทะเลสาบแม่ปิง/※ケーン・コー(แก่งก้อ)のことか?)。ラムブーン県の南部、ターク県との県境に位置し、かなりの山奥だ。
 スクリット・ウィセートケーオは、劇場用映画初出演。チューマーン・ブンヤサックは、三年振りの映画出演。彼女は、日本で公開された「ミウの歌(ラブ・オブ・サイアム/サイアム・スクエア/The Love of Siam)」<2007年>、「地球で最後のふたり(Last Life in the Universe)」<2003年>、日本の映画祭で上映された「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門(アウトレイジ/The Outrage)」<2011年>、日本でDVD化された「609 (ロクマルキュウ/Buppha Ratree)」<2003年>、「ザ・パーク(The Park)」<2003年/香港>などに出演している。
 ニティワット・タラトーン監督には、日本で公開された「フェーンチャン ぼくの恋人(Fan Chan)」<2003年>や「ターン・イェーク・ワット・チャイ(Tang Yaek Wat Jai)」<2011年/※共同監督>、「ディアー・ガリレオ(Dear Galileo)」<2009年>、「ビター・スイート ボイド・ポット ザ・ショート・フィルム(BitterSweet BoydPod The Short Film)」<2008年>の中の「プアン」「カム・マイ・キー・カム」、「シーズンズ・チェンジ(Seasons Change)」<2006年>などの作品がある。原題は「学問を愛す」と訳すのか?

◆来日スタッフ、キャスト・インタビュー

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「タン・ウォン ~願掛けのダンス~」

<上映されるタイ映画>
[邦題] タン・ウォン ~願掛けのダンス~(タン・ウォン)
[英題] Tang Wong
[原題] ตั้งวง
[製作年] 2013年
[監督] コンデート・チャートゥランラサミー<Kongdej Chaturunrutsamee/คงเดช จาตุรันต์รัศมี>
[出演者] ナッタシット・コートマナットワニット<Nutthasit Kotimanuswanich/ณัฐสิทธิ์ โกฏิมนัสวนิชย์>、ナッタラット・レーカー(ナット)<Natarat Lakha/ณัฐรัฐ เลขา(นัท)>、ソムポップ・シッティアージャーン<Sompob Sittiajarn/สมภพ สิทธิอาจารย์>、シリパット・クハーウィチャーナン<Siripat Kuhavichanun/สิริภัทร คูหาวิชานันท์>、Anawat Patanawanichkul<อนวัช พัฒนวณิชกุล>、チョンニカーン・ネートチュイ(メイ)<Chonnikan Netjui/ชนนิกานต์ เนตรจุ้ย(เมย์)>
 ドラマ作品。四人の男子高校生が、祠に願いがかなったら踊りを奉納するという祈りをささげた。しかし、奉納しないでいると、彼らの身の回りに不思議なことが起こりだした。そこで悩んだ挙句、踊り子(ナッタラット・レーカー)を雇い踊りを習い始めはしたが…というストーリー。
 冒頭は登場人物も多くカットが細かいので何が何だかわからない状態であったのだが、ストーリーが進むにしたがいちょっと不思議な映像がおもしろく感じられるようになってくる。だが、あのラストの意味はよく分からない。
 作者は、この作品を通じて何を描こうとしたのであろうか?タイ国の将来であろうか?赤シャツ(タクシン派)の抗議活動が作中に取り上げられているが、このシーンを通じて何かを言おうとしていたのだと思うのだが。
 少年の一人(シリパット・クハーウィチャーナン)が、踊りを教えてくれている踊り子に愛を告白するシーンがおもしろい。この踊り子を演じているのはナッタラット・レーカー。この人、画面をよく見ると微妙な顔付で男性のような気もする。で、調べてみると、ニュー・ハーフであった。「Miss Tiffany's Universe 2011.」に出場している。また、妊娠させてしまったらしい元ガール・フレンドの父親が警察官だったというシーンも面白かった。
 2013年の第23回スパンナホン賞では、インディーズ作品でありながら作品賞、監督賞、助演男優賞(ナッタシット・コートマナットワニット)、脚本賞の四冠を達成している。この作品が作品賞を取ったのもすごいが、助演男優賞のナッタシット・コートマナットワニットが「愛しのゴースト(ピー・マーク/ピー・マーク プラカノーン/Pee Mak Phra Kanong)」でマークの戦友を演じた三人を退けての受賞かんなりの驚きだ。ところで、ナッタシット・コートマナットワニットはいい演技を見せてくれていたが、彼は主演でなく助演なのであろうか?彼が助演だとしたら、主演はだれなのだ?
 ナッタシット・コートマナットワニットの相手役の女の子メーは、チョンニカーン・ネートチュイが演じた。彼女は、日本の映画祭で上映された「マリー・イズ・ハッピー(Mary Is Happy, Mary Is Happy)」<2013年>の準主役を務めた人だ。本作が、映画デビュー作。
 タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、7.20点(満点は10点。投票数5。2014年9月現在)であった。
 本作は、「Berlin International Film Festival」と「Hong Kong International Film Festival」(いずれも2013年)で上映された。コンデート・チャートゥランラサミー監督は日本でDVD化されている「レター 僕を忘れないで(The Letter)」<2004年>の脚本家で、大阪アジアン映画祭で上映された「P-047 (ピー・ゼロ・フォー・セブン/P-047)」<2011年>、「手あつく、ハグして (ハンドル・ミー・ウィズ・ケアー/Handle Me with Care)」<2008年>や「サワッディー・バンコク(Sawasdee Bangkok)」<2009年>の中の「タマリンド・ゴースト」、「サイウ(Sayew)」<2003年>などを手がけている。

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「ラスト・サマー」

<上映されるタイ映画>
[邦題] ラスト・サマー
[英題] Last Summer
[原題] ฤดูร้อนนั้น...ฉันตาย
[製作年] 2013年
[監督] ノキッティタット・タンシリキット<กิตติธัช ตั้งศิริกิจ>、サランユー・チラーラック<Saranyoo Jiralak/ษรัณยู จิราลักษม์>、シッティシリ・モンコンシリ<สิทธิศิริ มงคลศิร>
[出演者] ピムパカーン・プレークンナタム(アーイ)<Pimpakan Preakunnatham/พิมพกานต์ แพร่คุณธรรม(อาย)>、チラーユ・ラオーンマニー(カウ)<Jirayu La-ongmanee/จิรายุ ละอองมณี(เก้า)>、スタッター・ウドムシン(パンパン)<สุทัตตา อุดมศิลป์(ปันปัน)>、クリット・サタパナピタックキット<กฤษส ถาปนพิทักษ์กิจ(สบาย)>、エーカワット・エークアチャリヤー<เอกวัฒน์ เอกอัจฉริยา(เบสท์)>
 ホラー作品。シン(チラーユ・ラオーンマニ)のガール・フレンドのチョーイ(ピムパカーン・プレークンナタム)が、SNSで「死にたい」と書き込みをした。そのため、シンは彼女を誘い、友人のミーン(スタッター・ウドムシン)、カーン(クリット・サタパナピタックキット)らと共に父の持つ海辺の別荘へ遊びに行くことを計画。しかし、別荘に着くと、そこでチョーイは謎の死を遂げてしまう。父に悟られることを恐れたシンらは、彼女の死体を隠すことにした。しかし、彼らに霊が襲い掛かる。そして一年後、チョーイの弟ティン(エーカワット・エークアチャリヤー)と母との間には…というストーリー。
 この作品、ホラーなのであろうか?いや、ホラーであることに間違いはない。中盤まではホラーだとして、後半はホラー色が薄れ親子問題のような内容になっている。まあ、それはともかくとしてストーリーが分からない。最大の疑問は、なぜチラーユが突然死んでしまったのであろうかということだ。中盤にその種明かしのようなシーンがあるのだが、それもよく分からない。彼女が死んだのはいいとして、なぜ霊となって友人たちを苦しめるのか?死体を遺棄しようとしたから?そして、ラストもよく分からない。最後、霊はどうなってしまったのであろうか?
 男女の恋愛感情、女性同士の同性愛、親子愛、姉弟愛などが絡まっているらしいが、よく分からない。後半の弟、母、姉の関係は何なのだろう?
 ストーリー展開も雑だ。何もない野原を進んでいたはずなのに、そんな場所になぜ死体を埋める穴を掘れるようなスコップがあるのだ。そして、なぜ都合よくガソリン?が入ったドラム缶があるのだろうか?そしてどうして花火が、まあ、これは映画なので許せるが。それと細かいことだが、人間の死体が入ったスーツケースを両手で抱えて軽々と持ち上げて歩くなどということは、普通の人間にはできない。
 とにかく、一言でいうと、ストーリー設定が分からない作品なのだ。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、5.86点(満点は10点。投票数22。2013年12月現在)とかなり低いものであった。興行収入は、US$944,768と検討している。
 チラーユ・ラオーンマニーとスタッター・ウドムシンは、日本の映画祭で上映された「セブン・サムシング(Seven Something)」<2012年>の中の「14(14)」の主演コンビだ。この作品の公開直後、スタッター・ウドムシンが、薬物を吸引しているらしき画像がインターネット上にアップされた。大問題となり、当初は本人が否定したが父親が事実と認めた。彼女は若いがかなり人気があり、果たして今後とうなるのだろうか?もしかしたら、この作品が最後の映画出演になるのであろうか?
 サランユー・チラーラック監督には、「シークレット・サンデー(9 ワット/Secret Sunday/9 Wat)」<2010年>などの作品がある。原題は「その夏...私は死ぬ」という意味。

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「コンクリートの雲」

<上映されるタイ映画>
[邦題] コンクリートの雲(コンクリート・クラウズ)
[英題] Concrete Clouds
[原題] ภวังค์รัก
[製作年] 2014年
[監督]  リー・チャタメーティクン<Lee Chatametikool/ลี ชาตะเมธีกุล>
[出演者]  アナンダー・エバリンハム<Ananda Everingham/อนันดา เอเวอร์ริ่งแฮม>、アピンヤー・サクンチャルーンスック(サーイパーン)<Apinya Sakuljaroensuk(Saiparn)/อภิญญา สกุลเจริญสุข>、ジェーンスダー・パーントー<Janesuda Parnto/เจนสุดา ปานโต>、プラウィット・ハンステーン<Prawit Hansten(Yim/<ประวิทย์ ฮันสเตน(ยิ้ม)>
 ドラマ。SF系列で公開。釜山国際映画祭、2014台北電影節、ロッテルダム国際映画祭2014で上映された。日本では、東京国際映画祭で上映。
 主演男優のアナンダー・エバリンハムは、日本で劇場公開された「心霊写真(Shutter)」<2004年>、日本の映画祭で上映された「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門(アウトレイジ/The Outrage)」<2011年>、「ランカスカ海戦 パイレーツ・ウォー(Queens of Langkasuka)」<2008年>や日本でDVD化された「レッド・イーグル(Red Eagle)」<2010年>、「メモリー(Memory)」<2008年>、「ミー・マイセルフ 私の彼の秘密(Me...Myself)」<2007年>などに主演し、「元カノ Death (フェーン・マイ/Fan Mai/My Ex 2 Haunted Lover)」にも少し出演している。
 主演女優のアピンヤー・サクンチャルーンスックは、日本の映画祭で上映された「すご〜い快感 (フィン・スゴイ/フィン・プロジェクト/Fin Sugoi/Fin Project)」<2014年>、「帰り道(アイ・キャリード・ユー・ホーム/パーダン・ベサー/I carried you home/Padang Besar)」<2011年>、「風の音、愛のうた(Loving You, Loving Me)」<2011年>や長崎県の軍艦島で撮影された「Hプロジェクト(ハシマ・プロジェクト/H Project/Hashima Project)」<2013年>などに出演した女優。原題は、「夢心地の愛」と訳すのか?

◆来日スタッフ、キャスト・インタビュー

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「36のシーン」

<上映されるタイ映画>
[邦題] 36のシーン(36)
[英題] 36
[原題] 36
[製作年] 2012年
[監督] ナワポーン・タムロンラタナリット<Nawapol Thamrongrattanarit/นวพล ธำรงรัตนฤทธิ์>
[出演者] コラミット・ワッチャラサティアン<Koramis Watcharasatien/กรมิษฐ์ วัชรเสถียร>、Siriporn Kongma、ワンロット・ルンカムジャット<Wallop Rungkamjad>
 ドラマ。SaiはFilm Location Manager、Oumはアート・ディレクターで、二人は同僚であった。二年後、Saiは以前と同じ仕事をしていたが、Oumは・・・というストーリー。
 バンコクでは、House RCAで単館公開された。上映時間は1時間8分。主題歌は、Yellow Fangが歌っている。原題の「36」とは、36のシーンがあるという意味とフィルムの36枚撮りというのをかけているらしい。
 インディーズ作品。日本では、2014年の第27回東京国際映画祭で上映された。2012年の第17回釜山国際映画祭にも出品されている。監督のナワポーン・タムロンラタナリットは、2pmのニックンが映画デビューして話題となった「セブン・サムシング(Seven Something)」<2012年>(この作品の中の「14」)の脚本を共同で担当した人だ。また、「ホーム(Home)」<2012年>の中の第三作目も書いており、「トップ・シークレット 味付のりの億万長者(Top Secret <The Billionaire>)」<2011年>、「バンコク・トラフィック・ラブ・ストーリー(Bangkok Traffic Love Story)」<2009年>なども共同執筆している。監督作品としては、日本の映画祭で自揺曳された「マリー・イズ・ハッピー(Mary Is Happy, Mary Is Happy)」<2013年>などがある。本作は、同監督の長編第一作目。

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「稲の歌」

<上映されるタイ映画>
[邦題] 稲の歌
[英題] The Songs of Rice(Pleng Khong Kao)
[原題] เพลงของข้าว
[製作年] 2014年
[監督] ウルポン・ラックサーサット<Uruphong Raksasad/อุรุพงศ์ รักษาสัตย์>
[出演者] ・・・
 ドキュメンタリー作品。「稲作ユートピア(アグラリアン・ユートピア/Agrarian Utopia)」<2009年>のウルポン・ラックサーサット監督作品。

◆来日スタッフ、キャスト・インタビュー

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【今回の東京国際映画祭】 <F.N.>
 いやあ、まさか、タイ映画が8本も上映されるとは思ってもいませんでした。こんなにたくさんのタイ映画を、日本語字幕付きで観られるとは嬉しかったですね。
 個人的には今年の10月はとても大変で、タイでは10月前後の公開作がとても多く、福岡市総合図書館映像ホール・シネラではタイ映画14本の特集上映、「愛しのゴースト(ピー・マーク/Pee Mak Phra Kanong)」<2013年>の劇場公開、そしてそしてこの東京国際映画祭のタイ映画特集です。作品データーを調べ直したり、作品を見直したりとてんてこ舞い。その上、映画祭終了直後には、タイへ取材に行かなければならないというどうしようもない状況でした。
 東京国際映画祭で観ることができた作品は7本。「タン・ウォン ~願掛けのダンス~(タン・ウォン/Tang Wong)」 <2013年>だけは観ることができず。来日された作品関係者にインタビューさせていただいたのは4組。映画祭の会場へは、会期8日間の内6日間も通ってしまいました。時間的には、これ以上は無理でしたね。
 当初、今回のタイ映画特集の中では、「先生の日記(ティーチャーズ・ダイアリー/キット・トゥン・ウィタヤー/Teacher's Diary)」<2014年>、「タイムライン(タイムライン チョットマーイ・クワームソンチャム/ Timeline Chotmai Khwamsongcham)」<2014年>、「メナムの残照(サンセット・アット・チャオプラヤー/クーカム/Sunset at Chaophraya/Koo Gum)」<2013年>が人気を博すと思っていました。しかし、予想は大外れだったのです。これらの作品は予約受付段階では満席にはならず、満席になったのは予想外の「タン・ウォン ~願掛けのダンス~」、「36のシーン(36)」 <2012年>、「ラスト・サマー (Last Summer)」 <2013年>の三本でした(それぞれ六本木での上映が、予約段階で満席)。
 この三本が人気を博したのは上映曜日と時間の関係もあるかもしれませんが、「タン・ウォン」は昨年のタイの映画賞であるスパンナホン賞の作品賞をと取ったから?「36のシーン」は、昨年の同映画祭で上映され好評だった「マリー・イズ・ハッピー(マリー・イズ・ハッピー、マリー・イズ・ハッピー/ Mary Is Happy, Mary Is Happy)」<2013年>の監督作品だから?「ラスト・サマー」はどうしてでしょう?上映日が良かったからでしょうか(笑)。
 マイナーな国の作品の場合、本国からの情報がほとんど入って来ませんので、本国での評判より映画祭側が公表した紹介文などを参考にして観客が集まるのでこのような事態になったのかもしれません。タイ本国の人気からいくと、「先生の日記」がダン突なのですが。この作品がインディーズ作品に負けるというのは、映画祭ならではの現象ではないでしょうかね。
 ちなみに、「先生の日記」の六本木での上映時は70%程度の入り、「タイムライン」の日本橋での上映時は30%程度の入りでした。また、プレス用の上映では、「メナムの残照」は40%程度、「36のシーン」が40%程度、「コンクリートの雲」が30%程度、「ラスト・サマー」30%程度、「稲の歌」は10%程度でした(注:上映スクリーンにより座席数に違いがあります)。やはり、観客もプレスもタイ映画への注目度はいまひとつなのではないでしょうか。


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