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京都ヒストリカ国際映画祭2012
「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門(アウトレイジ)」
トークショー


「京都ヒストリカ国際映画祭2012」 「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門」

[ 参考ページ ]
京都ヒストリカ国際映画祭2012
「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門(アウトレイジ)」

【 トークショー抜粋 】
 ご縁があり、トークショーに参加させていただきました。参加者は、来日した監督のパンテーワノップ・テーワクンさんと東映・京都撮影所の高橋 剣さん、フリーライターのなかざわ ひでゆきさんと私(Asia Network)でした。そしてもう一人、僧侶の兄役を演じた若手男優のチャイヤポン・チューリアン(ニウ)君が見学です。
 タイは例年ですと今が一年で一番涼しい時期なのですが、今年はなぜかとても暑いのです。そんな暑いタイから、例年よりも寒い京都へといらっしゃったお二人は少々大変そうでしたが・・・。
(2012年12月7日)

来日したお二人(左:監督、右:ニウ君)
◆『羅生門』について
--なぜ『羅生門』をリメイクしようと思ったのですか?
[監督] 1964年(10歳の頃)に『羅生門』を観て、とても感動しました。黒澤監督の芸術性と日本文化は素晴らしいです。そして、将来映画に関わっていきたいと思ったのです。ですので、20年前からリメイクのチャンスをずっと狙っていたのです。
※10歳の時に「羅生門」を観たというのはすごいですよね。

◆『ウモーン・パー・ムアン - 羅生門』について
--『羅生門』に比べて監督の作品は非常に分かりやすく作られていますが
[監督] 日本の文化をタイへ持ってくるわけですから、その際に何が大切かを考えましたるタイの人に理解してもらえるよう、非常にシンプルな物語にしました。

--作品はどこで撮影したのですか?
[監督] タイ北部のチェンマイ県、チェンラーイ県、ラムパーン県です。冒頭に出てくるランナー様式の大きな寺院は、ラムパーン県のワット・プラ・タート・ラムパーン・ルアンというとても有名な寺院です。

--僧侶役のマーリオー・マオラーはとても人気のある俳優ですが、本当に頭を剃ったのでしょうか?
[監督] あれは特殊効果なのです。彼自身は剃ってもいいといったのですが、他の仕事との関係がありましたので・・・。

◆監督自身についてなどなど
--監督は最近三本の作品を公開されていますが、それ以前は10年以上映画をおとりになっていないようですがどうしてなのでしょう?
[監督] その間に映画は三本撮っているのですが、商業ベースには乗っていません。あとはTVドラマなどを撮っていました。

--現在のタイ映画界に思うことを教えてください
[監督] 非常によくない状態だと思います。ハリウッドの作品のようにエンターテイメント性を追いかけ過ぎています。

--今後どのような作品を撮っていきたいですか?
[監督] 「人間はどうして存在するのか?」「人間とはどこからやって来たのか?」をメッセージとして描いていきたいです。ですが、私ももう年(1953年生まれ)ですので、60歳になったら引退し出家したいと思っています。
※そんなことをおっしゃらずに、いつまでも映画を撮り続けていただきたいものです。

【 トークショーの舞台裏で 】
 トークショーをご覧になる方に若い方が多いようなら話題に取り上げようかとも思ったのですが、そうではないみたいでしたので会場では触れなかったことがあります(黒澤ファンからおしかりを受けるといけないので?)。個人的にお聞きしてみたかったことを、舞台裏でこっそり質問してみました。それを特別にご紹介しましょう。

テーワクン監督
※テーワクン監督は、この「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門」の前に「イターニティー(Eternity)」<2010年>という作品を撮っています。タイでは、有名な女優がスクリーンの中でヌードを披露するということはめったにありません。しかしこの作品では、「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門」でも貴族の妻の役を演じていた人気女優のチューマン・ブンヤサック(ライラー・ブンヤサック/プローイ)がヌードを披露しているのです。
--『イターニティー』の出演者はどなたが決められたのですか?
[監督] プロデューサーとも相談しましたが、基本的には自分で決めました。

--チューマン・ブンヤサックさんがヌードを披露していますよね。脱ぐことを監督自身が説得されたのですか?
[監督] そうです。どんな役であるかということを丁寧に説明しました。

--それにしてもよく説得できましたね。

[監督] 彼女は役柄を理解してくれました。それに、彼女は「student」ですし。

--「student」?
[監督] 私の俳優学校の生徒なのです。


※「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門」で僧侶役を演じているマーリオー・マオラーは、とても人気のあるアイドル的存在の男優です。ですが、演技が下手だということは多くの人が言っています。特に、セリフが台本の棒読みだという意見は多いです。個人的にもそう思いますが、彼は寡黙な役をやると結構いい味を出してくれます。敢えて、なぜ彼を使ったか聞いてみました。
--なぜ僧侶役にマーリオー・マオラー起用したのですか?

[監督] 彼はいい役者です。若いですし(僧侶役は若い人を起用したかった)潜在能力があります。彼も「student」です。今回は彼も連れてこようかと思ったのですが、仕事の都合で来ることができませんでした。


※テーワクン監督の「チャンダラー パトムボット<ジャンダラ>(Jan Dara)」<2012年>という作品が今年タイで公開されています。パート2が来年(2013年)公開予定です。日本のAV女優である西野翔さんが出演している作品です。
 この作品は日本でも公開、DVD化されている「ジャンダラ 背徳の情事(Jan Dara)」<2001年>のリメイクで、2001年版では、主演女優がヌードを披露して話題になった作品です。

--『チャンダラー パトムボット (ジャンダラ)』のキャスティングも監督がされたのですか?

[監督] そうです。

--主演に、人気歌手のヤーヤーインさんを起用していますよね。旧「ジャンダラ 背徳の情事」を観て、今回も主演のヤーヤーインさんが脱いでくれるものと思って期待したら脱いでいなかったのでがっかりしたのですが。

[監督] 彼女、脱いでいますよ。

--脱いでいるといっても背中しか見せていませんよね。

[監督] パート2を観てください。現在編集作業中で、少々難航していますけど。

--日本の西野翔さんを起用することを決めたのも監督ですか?

[監督] そうです。彼女はとてもいい女優です。「AV Star」(監督の言そのまま)ではなく「Actress(女優)」です。タイ語を話す努力をしていたし、とにかく演技ができる。タイの女優より素晴らしいです(※この後も「すばらしい」を連発して、彼女のことをほめちぎっていました)。

--この作品の日本でのDVD発売予定はないのでしょうか?

[監督] 某俳優さんと条件が合意できていませんので、現在は日本に対し営業できない状態なのです。
 監督は、仏教を深く信じられているようです。その割には性を扱う作品が多いような気もしますが。最初、監督は話すのがあまり得意ではないということを自分でおっしゃっていると伝わったきたので少し心配しましたが、そんなことはなくたくさんの話をしていただきました。そして、映画への情熱がひしひしと伝わってきました。また、見かけによらず?気さくな方で、楽しい時を過ごさせていただきました。ありがとうございました。今後のご活躍をお祈りしております。

[ 当ブログで扱っているテーワクン監督の作品 ] ※2012年12月現在
「チャンダラー パトムボット <ジャンダラ>(Jan Dara)」<2012年>
「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門<アウトレイジ>(The Outrage)」<2011年>
「イターニティー(Eternity)」<2010年>
「クワーム・ラック マイ・ミー・チュー(Khwam Rak Mai Mi Chu)」<1990年>
「チャン・プーチャーイ・ナ・ヤ(Chan Phuchai Naya)」<1987年>
「チャーン・マン・チャン・マイ・ケー(Chang Man Chan Mai Khe)」<1986年>

[ チャイヤポン・チューリアン(ニウ) ]
 今回、監督に同行して来たチャイヤポン・チューリアン(ニウ)君は、現在22歳です。「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門」では、僧侶の兄役をやっています。実際には、僧侶役のマーリオー・マオラーの方が年上なのですが。彼はTVドラマの出演はそれなりにあるのですが、映画は今作が初出演です。「チャンダラー パトムボット(ジャンダラ)」にも出演しています。
ニウをモチーフにした「チャンダラー パトムボット(ジャンダラ)」のポスター
Chaiyapol "Julien" Poupart Official Fan Page

[ フリー・ライター なかざわ ひでゆき氏 ]
 トークショーでご一緒させていただいた、映画/ポップミュージック研究執筆家の方です。ホラー映画に関する著書もあります。大変博識な方です。
HP angeleyes
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