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第5回京都ヒストリカ国際映画祭2013
< Kyoto HISTORICA International Film Festival 2013(KHIFF) >


[開催期間] 2013年11月30日(土)~12月8日(日)
[会場] ・・・
[URL] http://historica-kyoto.com
[開催趣旨]  デジタル革命は映画の想像力の限界を外し、アニメとの境界も無効にしました。インターネットは世界とフラットにつながることでローカルな歴史やキャラクターの大切さを気づかせてくれました。 そんな時代を迎えて世界中のストーリーテラーたちは歴史を自在に語り始めたのです。 日本の古都・京都で時代劇を作り続けてきたわたしたちは、「時代劇」としてサバイバルするのでなく、ジャンルの定義を更新して「歴史劇」としてリバイバルするために、京都ヒストリカ国際映画祭を立ち上げました。 新たな「歴史劇」は、歴史ドラマやキャラクターの強烈な魅力を、ジャンル・メディア・国境を越えて訴える力があります。最新の歴史エンターテイメントを、観て、語って、創発するネットワークのコアに飛び込み、歴史劇の刺激を浴びて下さい!(映画祭HPより)

「ピー・マーク」

<上映されるタイ映画>
[邦題] ピー・マーク
[英題] Pee Mak Phra Kanong
[原題] พี่มาก..พระโขนง
[製作年] 2013年
[監督] バンチョン・ピサンタナクーン<Banjong Pisanthanakun/บรรจง ปิสัญธนะกูล>
[出演者] マーリオー・マオラー<Mario Maurer/มาริโอ้ เมาเร่อ>、ダーウィカー・ホーネー(マイ)<Davika Hoorne(Mai)/ดาวิกา โฮร์เน่(ใหม่)>、ポンサトーン・チョンウィラート<พงศธร จงวิลาส>、ナッタポン・チャートポン<ณัฏฐพงษ์ ชาติพงศ์>、アッタルット・コンラーシー<อัฒรุต คงราศรี>、カンタパン・プームプーンパチャラスック<กันตพัฒน์ สีดา>、ウィワン・コンラーシー<วิวัฒน์ คงราศรี>
 ホラー・コメディー。事実だと信じる人も多いと言われる、タイの有名なホラー伝説「メー・ナーク・プラカノーン」の2013年版。マーク(マーリオー・マオラー)は徴兵され、身重の妻ナーク(マイ)を家に残して戦場へと赴く。しかし、マークが戦場にいる間にナークは死んでしまい、マークはそのことを知らない。負傷したマークは、戦友らと共にプラカノーンの自宅へと戻って来る。そこには、夫を愛するあまり、死しても幽霊となって夫を待つ妻と赤ん坊がいた。だが、マークはそのことを知らない。マークとナークは喜びの再会を果たし、マークは戦友達をしばらくの間離れに泊めることにした。マークらが村へ行くと、どうも知人たちの様子がおかしい。妻のナークが幽霊だというのだ。・・・というストーリー。
 GTH社作品。この題材は、過去に何度も映画化、TVドラマ化、舞台化がされている。タイトルが「メー・ナーク」ではなく「ピー・マーク」になっていることからも想像がつくが、今回の主役はナークではなくマークだ。
 この作品は、ひとことでいうととてもおもしろくて楽しめる作品となっている。最初から最後まで劇場内は笑いっぱなしだ。しかも、その笑いの取り方は、タイ映画お得意の下品なドタバタ・コメディーではない。これなら、タイ以外の国でも受けるに違いない。特に作品の冒頭では、編集の妙で笑わせてくれる。こういう作品は珍しい。もちろん、いい演出があったからこそ編集で笑わすことができたのだが。演出、脚本、撮影、編集がすばらしい。
 そして、出演者も良かった。特に良かったのは、マークの戦友達を演じた助演の四人(ポンサトーン・チョンウィラート、ナッタポン・チャートポン、アッタルット・コンラーシー、カンタパン・プームプーンパチャラスック)。見事に笑いを取っている。そして、愛妻家である主演のマークを演じたマーリオー・マオラーが、かわいらしかった。彼、以前に比べて演技がうまくなったと思う。
 ナーク役の女優マイは、「ファザーランド(Fatherland)」<2012年>に次いで映画は二本目の出演。TV出演は2010年からある。TVドラマ「ガオ・カーム・テープ(เงากามเทพ)」では主題歌も歌っている。今作公開年には21歳になる若手だ。ちょっと難しい役だったと思うが、怖さの中にかわいらしさを交え無難にこなしていた。
 冒頭の戦闘シーンはかなり迫力があった。だが、主人公たちが体に弾丸を受けているのに、(コメディー・シーンではないにもかかわらず)劇場内では笑いが湧き上がるという珍しい現象が起こった。それだけ、冒頭から観客を笑わせていたということなのだが。観客が笑いたくなる気持ちは分かる。残念だったのは、有名なマナオのシーン。あまりにもあっさりと流してしまっている。これだけすごい作品なのだから、何か工夫して見せてくれればより盛り上がったと思うのだが。
 作品は、正統派「メー・ナーク・プラカノーン」とはちょっと違った結末を迎える。こういう終わり方をする「メー・ナーク・プラカノーン」は初めて観た。また、本編終了後のエンド・ロール中に後日談が展開するのだが、これがまた傑作だった。
 この作品の中には、どうしても外国語に訳すことができないことばや習慣、言い伝え、歴史を知らない外国人には笑えない部分もあるが、それでも十分に楽しむことができる内容となっている。とにかく、楽しい作品に仕上がっている。
 挿入歌「ヤーク・ユット・ウェラー(อยากหยุดเวลา)」がとてもいい。この曲はオリジナルではなく、元歌は1991年のサランヤー・ソンサルームサワット(Saranya Songsermsawad/ศรัณย่า ส่งเสริมสวัสดิ์)のものだとのこと。
 公開日には、バンコクのMajor Cineplex Rangsitでは6スクリーンで上映された。大ヒットしたためか、その6日後には7スクリーンとなっている。
 年齢制限は「15歳超視聴可」。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、8.98点(満点は10点。投票数131。2013年4月現在)と高得点であった。
 バンチョン・ピサンタナクーン監督は、日本でも公開された「心霊写真(Shutter)」<2004年>、日本の映画祭で上映された「アンニョン! 君の名は(Hello Stranger)」<2010年>や「フォウビア 2(Phobia 2)」<2009年>の中の「In The End」、「フォウビア(Phobia)」<2008年>の中の「The Middle Man」、「アローン(Alone)」<2007年>などを手がけているホラー系の映像に力のある人だ。

Trailer


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