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第4回アジアンクィア映画祭
< Asiqn Queer Film Festival >



[開催期間] 2013年5月24日(金)~6月2日(日)
[会場] シネマート六本木(東京)
[URL] http://aqff.jp
 アジアのクィア映画とりわけインデペンデント映画を発掘し、日本ならびに世界へ紹介することを目的として2007年に誕生した映画祭。隔年での開催を目指している。アジア作品のみというのは、世界的にもこの映画祭だけだそうだ。



ポスター

<上映されるタイ映画>
[邦題] 愛なんていらない(イット・ゲッツ・ベター)
[英題] It Gets Better
[原題] ไม่ได้ขอให้มารัก
[製作年] 2012年
[監督] タンワーリン・スカピシット(ゴルフ)<Tanwarin Sukkhapisit/ธัญญ์วาริน สุขะพิสิษฐ์>
[出演者] パーヌポン・ウォラエークシリ(サーリム)<Panupong Waraakesiri/ภาณุพงศ์ วราเอกศิริ>、ペーンパック・シリクン(ターイ)<Penpak Sirikul/เพ็ญพักตร์ ศิริกุล>、パラマ・イモーノータイ(パンチャン)<ปรมะ อิ่มอโนทัย>、ナンティター・カムピラーノン(ベル・ナンティター/ベル)<Belle Nuntita(Nuntita Khampiranon)/เบลล์ นันทิตา(นันทิตา ฆัมภิรานนท์)>、パーウィット・サップルンロート(ニック)、クリッサタチャーポン・タナナーラー(アー)<Kisthachapon Thananara>、パーウィニー・ウィリヤチャイキット(ミン)<Pawinee Wiriyachaikit/ภาวิณี วิริยะชัยกิจ(มิลค์)>、ピンヤーパット・ブンルアン(プペ)、プリムプラット・チャイヤカム(ルークパット)、กวิน อิ่มอโนทัย
 第三の性を扱ったドラマ。最初、性のマイノリティーに関する三組のカップルのオムニバス・ラブ・ストーリーかと思ったら・・・。この作品のすごいところは、このストーリー構成のみごとさにある。最後の方で、なるほどこういうことだったのかと分かるのだが、それまでが分かるようでわからない。そのため、少々登場人物の人間関係が分かりにくいが、これは仕方ないであろう。基本的に三つのラブ・ストーリーなのだが、それらが交わらなさそうで交じわる絶妙の構成がとてもすばらしい。それほどダイナミックなストーリー展開はないが、観客を物語の中に引き込んでいく力がある。よくありがちな、軽いタッチのオカマさん映画とは全く違う。ただ、多くのタイ映画かそうであるように、最後を簡単に終わらせてしまっているのは残念。あそこまで盛り上げたのに・・・、という感じだ。特に、父親が強盗に襲われるシーンの演出は情けない。あそこはひとつの見せ場のはずだ。だが、十分に見ごたえのある作品である。
 タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、9.48点(満点は10点。投票数50。2012年6月現在)であった。この手の作品には熱烈なファンがいて得点を引き上げている可能性があるが、かなりの高得点といえる。興行的には、興行収入US$227,000と沈んでしまった。
 トンマイが心ひかれるニューハーフの役で登場するナンティター・カムピラーノン(Belle)は、TVのタレント発掘番組「Thailand's Got Talent」出身のトランスジェンダー歌手だ。結構人気があり、女性と男性の声色を使い分けることができ歌唱力もある。本作ではいかにもニューハーフという感じなのだが、撮影の仕方によっては完全に女性に見える美形である。彼女?は映画初出演で、キス・シーンもある。彼女は、主題歌「マイ・ダイ・コー・ハイ・マー・ラック(ไม่ได้ขอให้มารัก)」も歌っている。
 英題でもある「イット・ゲッツ・ベター(It Gets Better)」しは、「良いときはきっと来る」というような意味だ。ゲイであることを理由にいじめを受けたり、ゲイではないかと同級生に疑われて自殺をする青少年が続出したために、それを防ぐことを目的にアメリカの作家ダン・サベージ(Dan Savage)が始めたプロジェクト名とかけているようだ。
 本作は、第22回スパンナホン賞の助演男優賞(パラマ・イモーノータイ)、美術賞、衣装デザイン賞を受賞している。パラマ・イモーノータイは、ターイの恋人役で登場した人だ。
 タンワーリン・スカピシット監督には、「ハック・ナ サーラカーム(Hug Na Sarakham)」<2011年>などの作品がある。そういえば、この作品にもオカマさんとか同性愛者が登場していた。この人は、トランスジェンダーらしい。
[ストーリー] (ネタバレあります。ちょっと不自然なストーリー説明と思われるかもしれませんが、理由は作品をご覧になると分かります。※この作品はストーリー設定がちょっと特殊で、人物設定を誤解していたらごめんなさい)
 ストーリーを作中の順番ではなく、時系列で解説すると以下のようになります。ディン(パーウィット・サップルンロート)は、少年期に女性の服を着て踊っているところを父親に見られ出家させられてしまう。しかし出家はしてみたものの、寺では指導役の若い僧(クリッサタチャーポン・タナナーラー)に恋心を抱いてしまう。
 還俗して女性と結婚するが、妻の妊娠中に妻の服を着て踊っているところを見られてしまう。妻は彼と別れ、一人で子どもを産むことに。
 一方、彼(容姿は女性だが)サーイターン(ペンパック・シリクン)は、パタヤーでキャバレー・ショーの店を開き成功する。そして、遠い昔に勘当された父を一目見ようと父の元へ行くが、父が強盗に襲われているのを救おうとして殺されてしまう。
 サーイターンが死んでしまったため、別れた妻が育てた留学中の息子トンマイ(パーヌポン・ウォラエークシリ)が店を引き継ぐか処分するかを決めるために帰国する。店に行くと、疑問を持ちながらもニューハーフのトンリウ(ナンティター・カムピラーノン)に心揺らぐ自分に気付く。そして、店は・・・。

【 It Gets Better 】
DVD (タイ版/スペシャル・パッケージ)
【 It Gets Better 】
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「愛なんていらない」
Trailer



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バナー <(C) Come On Sweet Co., Ltd.>

<上映されるタイ映画>
[邦題] ジェリーフィッシュの恋 2(イエス・オア・ノー 2)
[英題] Yes or No 2
[原題] yes or no 2 รักไม่รัก อย่ากั๊กเลย
[製作年] 2012年
[監督] サラサワディー・ウォンソムペート(ナーイ)<Sarasawadee Wongsompetch/สรัสวดี วงศ์สมเพ็ชร>
[出演者] スパナート・チットリラー(ティナー)<Supanart Jittaleela(Tina)/ศุภนาฎ จิตตลีลา>、スチャー・マーナイン(スチャーラット・マーナイン/オーム)<Sucharat Manaying(Aom)/สุชาร์ มานะยิ่ง/ออม(สุชารัตน์ มานะยิ่ง)>、アピサター・クラーイウドム(ミーン)<อภิษฐา คล้ายอุดม>、イン・ブドーカン(インティラー・ユーンヨン(イン))<In Budokan/อิน บูโดกัน(อินทิรา ยืนยง)>、アーパーパット・ミーセーン(テーウィ)、プレームプリーダー・サクンシーポーン(ウェーン)<เปรมปรีดา สกุลศรีผ่อง>、トンパット・ソーンクン(プーイ)、พุฒิพงศ์ พรหมสาขา ณ สกลนคร、บัณฑิต ทองดี、ニサー・ブンサンティヤ(モス)
 「ジェリーフィッシュの恋(Yes or No)」<2010年>のパート2。レズビアンを扱った青春物語。水産学部の学生であるパーイ(オーム)と農学部の学生であるキム(ティナー)、二人の女性の関係はその後も三年間続いていた。しかし、大学四年生になり次第に関係はぎくしゃくとしだした。そんな時、キムはナーン県のへ、パーイはチャンタブリー県へと実習に赴く。そこで、キムの前にはイェーム(ミーン)という女性が現れ・・・というストーリー。
 監督と主演の二人はパート1と同じメンバー。パーイ役のオームは、「スチャーラット・マーナイン」から「スチャー・マーナイン」へ改名している。ティナーに絡む新メンバーとして、おそらく本作が映画デビュー作である新人のミーンが加入している。彼女は2012年でまだ20歳だ。美人とはいえないが、なかなか笑顔のすてきな人である。彼女の加入が、本作パート2をとても新鮮なものにしている。
 パート2はパーイとキム二人の物語というよりも、キムにやや多めにスポットをあてた形になっている。結果的に、キム対パーイ、イェームの二人との愛の三角関係の物語である。
 監督のサラサワディー・ウォンソムペートは、やはり作品作りがうまい。どうしてもパート1ほどのインパクトはないが、無難にまとめ上げさわやかな作品になっている。ただ、ラストは少々弱いか?キムの父親の農場の舞台となったナーン県の自然も美しい。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、8.51点(満点は10点。投票数45。2012年12月現在)であった。
 ティナーは、この手の女の子が好きな人たちには絶大な人気がある。だが、各種広告には登場してくるが、映画出演はこのシリーズのみだ。演技は下手ではないのになぜなのであろうか?本来はモデルということなのであろうか?
 パート1は、本国タイでは興行収入US$554,321とヒットしたとはいえない数字であった。おそらく、性におおらかなタイといえども、この作品には避けては通れない「レズビアン」という冠が邪魔をしたに違いない(公開スクリーン数の関係もあったであろうが)。インドネシアでは、上映禁止になってしまったそうだ。しかし、中国、香港、台湾といった中国語圏では大人気となた。今回はいわば凱旋帰国ともいえる。
 しかし、ヒット確実ではないかと思ったのだが、興行収入はUS$843,210と前作を上回ったものの伸び悩んだ。やはり、製作がCome On Sweet Co., Ltd.というマイナーな会社だからであろうか?パート1は、この会社の映画製作第一作目である。パート1のDVDは、台湾、マカオ、ベトナム、カンボジアなどで売れているそうだ。日本ではアジアンクィア映画祭という小さな映画祭で上映されただけでDVDは発売されていないのだが、なぜかファンが少なくない。
 この作品に「13歳超視聴可」という年齢制限がかかっているのだが、どうもタイの視聴レートはよく分からない。レズビアンを扱った作品だからか?原題は、「愛してる、愛してない 好きでもないのに異性をつなぎとめておくな」と訳すのか?

【 Yes or No 2 】
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「ジェリーフィッシュの恋 2」
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スチール < (C) Sixnature PR Group >

<上映されるタイ映画>
[邦題] ジェリーフィッシュの恋 (イエス・オア・ノー)
[英題] Yes or No
[原題] อยากรัก ก็รักเลย
[製作年] 2011年
[監督] サラサワディー・ウォンソムペート(ナーイ)<Sarasawadee Wongsompetch/สรัสวดี วงศ์สมเพ็ชร>
[出演者] スチャーラット・マーナイン(オーム)<Sucharat Manaying(Aom)/สุชารัตน์ มานะยิ่ง>、スパナート・チットリラー(ティナー)<Supanart Jittaleela(Tina)/ศุภนาฎ จิตตลีลา>、アリサラー・トーンボリスット(キウ)<Arisara Tongborisuth/อริสรา ทองบริสุทธิ์>、Soranut Yupanun、イン・ブドーカン(インティラー・ユーンヨン(イン))<In Budokan/อิน บูโดกัน(อินทิรา ยืนยง)>、ソラナット・ユパーナン(ボーン)
 女の子同士の愛情を描いた青春映画。レズビアン映画ということで紹介されているが、西洋のレズビアン映画を思い描いてこの作品を見るとずっこけてしまう。普通の純粋な青春ラブ・ストーリーという方があっているであろう。こういうことは、普通の女の子でも若い時には誰にでも起こりうるのでは?という内容だ。また、資料によっては「ラブ・コメディー」とあるが、ほとんどコメディー色はない。
 主人公は、大学に通う普通の女の子パーイ(Pai)。ある日、寮の彼女のルーム・メイトとして、トム・ボーイ(Tom Boy/男性のような格好をした女の子)のキム(Kim)がやってくる。パーイは最初は彼女を嫌っていたが・・・というストーリー。
 全体的には普通の青春ラブ・ストーリーのような感じに仕上がっていて、広い層に受ける内容に仕上がっている。ドラマティックなストーリー展開がないので比較的淡々とした流れなのだが、飽きさせずに最後まで見させてくれる。ストーリーも普通の人なら想像できてしまう展開だが、さわやかな感じでとてもいい。
 主演の二人がとても魅力的だ。彼女たちが、この作品の魅力を引き立たせてくれている。パーイ役のスチャーラット・マーナインはとてもかわいらしい。この人、一年前の作品、 「パーイ・イン・ラブ(Pai in Love)」<2009年>でもメイン・キャラクターを務めている。キム役のスパナート・チットリラーはボーイッシュな姿が似合っている。
 三人目の主人公であるトムに思いを寄せるチェーン役のアリサラー・トーンボリスットと主役のスチャーラット・マーナインは、タイプが違うものの顔つきが似ていて少々混乱するかも?横から見るととても区別が付きにくい。アリサラー・トーンボリスットは、同年に公開された「アフタースクール(After School)」<2010年>にも出演している。出演シーンは多くないが、歌手のイン・ブドーカンも存在感がある。たった一人道化役の女の子がいるのだが、彼女がチェーンの自殺を止めるシーンがおもしろい。この作品の唯一のコメディー・シーンともいえる。
 女性同士の愛を描いた作品だということは気にせずに、青春映画として楽しめる作品となっている。歌もとてもいい。日本では、2011年の第3回アジアンクィア映画祭で上映された。タイでの興行成績はUS$552,000と可もなく不可もなくといった成績だが、この作品には熱烈なファンがいるようだ。監督のサラサワディー・ウォンソムペートは女性で、本作が初監督作品。原題は「愛したい でも愛してしまった」と訳すのか?ちなみに、邦題の「ジェリーフィッシュ」とは、英語でクラゲのことです。
 「ジェリーフィッシュの恋」という邦題は、アジアンクィア映画祭で上映された時に付けられたものです。原題をいじるのはあまり好きではないせいか、どうして「ジェリーフィッシュの恋」なのという気がします。英題の「イエス・オア・ノー」では何のことかわからないよといわれてしまうとそれまでなのですが。確かにクラゲは作品中に出てきました。水槽の中で泳いではいましたが…。

【 Yes or No 】
DVD (タイ版)
【 Yes or No 】
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「ジェリーフィッシュの恋」
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<上映されるタイ映画>
[邦題] エロティックなカケラ1,2,3
[英題] Erotic Fragments No.1, 2, 3
[原題] ・・・
[製作年] 2011年
[監督] Anucha Boonyawatana
 上映時間6分のショート・ムービー。2012年のベルリン国際映画祭で上映 された。


【 タイ映画 & ミュージック DVD, CD販売サイト 】
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